感情伝染とは
概要
感情伝染 (emotional contagion) とは、他者の感情表現に触れることで、自分も同じ感情を無意識に体験する現象を指す。心理学者エレイン・ハットフィールドらが 1994 年に体系化した概念だ。笑っている人の近くにいると自分も笑顔になり、怒っている人の近くにいると自分もイライラする。これは意識的な共感とは異なり、自動的かつ無意識に起きる。
対面では表情、声のトーン、身体の動きを通じて感情が伝染する。テキストコミュニケーションでも、文体、語彙の選択、句読点の使い方、絵文字を通じて感情は伝わる。テキストの感情伝染は対面より弱いが、確実に存在する。
質問箱での感情伝染
質問箱では感情伝染が連鎖的に起きる。攻撃的なトーンの質問を読むと、回答者の気分が悪くなる。その状態で書いた回答は、無意識にトゲのある文体になる。その回答を読んだフォロワーも、なんとなく不快な気分になる。一つの攻撃的な質問が、回答者を経由してフォロワー全体の気分を下げる。
逆のパターンもある。温かい質問を読むと回答者の気分が上がり、その回答も温かいトーンになり、読者も良い気分になる。質問箱のコミュニティの雰囲気は、この感情伝染の積み重ねで形成される。一つ一つの質問と回答が、コミュニティ全体の感情的な色合いを決めている。
感情伝染を制御する
感情伝染は無意識に起きるため、完全に防ぐことはできない。しかし、自覚することで影響を軽減できる。嫌な質問を読んだ後に「今、自分の気分が下がっている。これは感情伝染だ」と認識するだけで、その感情に引きずられにくくなる。
実践的な対策としては、嫌な質問を読んだ直後に回答を書かないことだ。時間を置くことで、伝染した感情が薄れる。また、回答を書く前にポジティブな質問を先に読む、という順序の工夫も有効だ。良い質問で気分を整えてから、難しい質問に取り組む。感情伝染の仕組みを逆手に取る戦略だ。
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