共感疲れとは
概要
共感疲れ (compassion fatigue) とは、他者の苦痛や困難に繰り返し共感することで、共感する側の感情的エネルギーが消耗し、共感能力そのものが低下する状態を指す。もともとは医療従事者やカウンセラーなど、対人援助職で研究されてきた概念だ。
バーンアウト (燃え尽き) と似ているが、原因が異なる。バーンアウトは仕事量や環境への不満が原因であるのに対し、共感疲れは他者への共感そのものが原因だ。皮肉なことに、共感力が高い人ほど共感疲れに陥りやすい。他者の痛みを自分のことのように感じる能力が、自分自身を消耗させる。
質問箱の回答者と共感疲れ
質問箱に深刻な悩みの相談が届くことがある。いじめ、家庭の問題、孤独、自己否定。回答者がこれらに真剣に向き合い、一つ一つに心を込めて回答していると、共感疲れが蓄積する。
共感疲れの兆候は、質問を読むのが辛くなる、以前は心を動かされた質問に何も感じなくなる、回答が機械的になる、質問箱を開くこと自体を避けるようになる、といったものだ。これらは回答者の能力や誠意の問題ではなく、共感というリソースが枯渇したサインだ。
質問箱の回答者はプロのカウンセラーではない。訓練を受けていないし、スーパービジョン (専門家による監督) もない。それにもかかわらず、カウンセラーに近い役割を求められることがある。この構造的なミスマッチが、共感疲れの根本原因だ。
共感疲れから自分を守る
共感疲れへの最大の防御は、自分の限界を認めることだ。すべての悩みに寄り添う必要はない。深刻な相談には「自分は専門家ではないので、適切な相談窓口を利用してほしい」と伝えることも、誠実な対応だ。
日常的な対策としては、重い質問と軽い質問を交互に答える、一日に答える深刻な質問の数を制限する、質問箱以外の時間で自分自身の感情を回復させる、といった方法がある。共感は無限のリソースではない。自分の共感力を守ることは、長期的に見れば、より多くの人に質問箱を通じて価値を提供し続けるための投資だ。
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