決定疲れとは
概要
決定疲れ (decision fatigue) とは、意思決定を繰り返すことで精神的なエネルギーが消耗し、判断の質が低下する現象を指す。社会心理学者ロイ・バウマイスターの研究で広く知られるようになった。意志力は有限のリソースであり、使えば減る。
有名な研究に、イスラエルの仮釈放審査の分析がある。午前中の審査では仮釈放が認められる確率が約 65% だったのに対し、午後遅くには約 10% まで低下した。審査官の判断力が疲弊し、リスクを取らない安全な選択 (却下) に傾いたためだ。
質問箱と決定疲れ
質問箱の回答者は、一つの質問に対して複数の意思決定を行っている。この質問に答えるか。答えるならどんなトーンで。どこまで踏み込むか。本音をどの程度出すか。質問が 10 件あれば、数十回の意思決定が発生する。
決定疲れが蓄積すると、2 つのパターンが現れる。一つは「全部スルー」。判断するエネルギーがなくなり、質問箱を開いたまま何も答えずに閉じる。もう一つは「雑な回答」。深く考えずに短文で済ませる。どちらも、最初の数件には丁寧に答えていたのに、後半になるほど質が落ちるという形で現れる。
決定疲れへの対策
決定疲れを防ぐ最も効果的な方法は、意思決定の回数を減らすことだ。質問箱の運用では、事前にルールを決めておくことがこれに当たる。「1 日に答えるのは最大 5 件」「○○系の質問は一律スルー」「深夜に届いた質問は翌朝判断」。ルールがあれば、毎回ゼロから判断する必要がなくなる。
もう一つは、判断力が高い時間帯に質問箱を開くことだ。朝の方が判断力が高い人は朝に、夜型の人は夜に。疲れているときに質問箱を開くのは、決定疲れの状態で重要な判断をするようなものだ。質問箱を開くタイミングを意識するだけで、回答の質は変わる。
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